コロナウイルスが蔓延したことで、再度注目を浴びることとなったパンデミック映画「コンテイジョン」。ただのパンデミック映画で人がバッタバッタ死んでしまうのではなく、キャッチコピーにある通り、「【恐怖】は、ウイルスより早く感染する。」の恐怖によって混乱していく人々が描かれています。
今回コンテイジョンの感想、描かれてはいないがおそらくこういった思いがあったのだろうという考察などを交えて、ネタバレは少々ありますが、一度見た人がこの記事を見たことを信じ、書いていきます。笑
目次
あらすじ動画
コンテイジョンの主なキャスト、出演者
レオノーラ・オランテス医師(マリオン・コティヤール)、ミッチ・エムホフ(マット・デイモン)、エリス・チーヴァー医師(ローレンス・フィッシュバーン)、アラン・クラムウィディ(ジュード・ロウ)、ベス・エムホフ(グウィネス・パルトロー)、エリン・ミアーズ医師(ケイト・ウィンスレット)、ライル・ハガティ公衆衛生局士官部隊准将(ブライアン・クランストン)、アリー・ヘクストール医師(ジェニファー・イーリー)、オーブリー・チーヴァー(サナ・レイサン)、イアン・サスマン博士(エリオット・グールド)
コンテイジョンの簡単なあらすじ
映画は二日目から始まります。
香港にいる女性ベスエンホフ(グウィネス演じる)、船にいる男性、バスに乗る男性、次々の体調不良で倒れていきます。はじめは風邪だろうと思われていましたが、感染が早く、死者数が増えていき、新しいウイルスであることがわかります。
陰謀論信者や陰謀論を信じて暴動を起こすもの、楽観的で感染予防をしないものなどが現れ、自体は収拾がつかなくなることになります。
果たして、ウイルス感染を防ぐことはできるのか。と言った流れで話は進みます。
コンデイジョンの感想、評価
個人評価100点中、90点!
今まで見たパンデミック映画の中でもかなり面白いと思いました。
アウトブレイクも好きですが、(特に猿の驚くシーンが)絶対にありえない!が多かったアウトブレイクはそれはそれで、飽きさせない映画として面白かったです。コンテイジョンはそういった飽きさせないという一面はないために、退屈と感じる人は多いかもしれません。正直いって、アクションしか見ない!という人や子どもたちには間違いなくウケの悪い映画です。笑
現代のあり得る範囲なために想像がしやすいですし、コロナウイルスを経験した人からすると、誰も悪とは言えない、考えながら観れる映画でした。
映画のレビューを集積するウェブサイトRotten Tomatoesは165個のレビューに基づき、好意的な評価の割合を84%、評価の平均を7.2/10、批評家の総意を「緊張感があり、しっかりと画策され、そして優れたキャストによって支えられた『コンテイジョン』は、際立って洗練された—そして恐ろしい—ディザスター映画である」としている。Metacriticは37個の批評に基づき、70/100という「広く好ましい評価」の加重平均値を示している。CinemaScoreの市場調査によると、初日に劇場を訪れた観客の評価はAからFの間で「B-」だった。
引用:wikipedia
陰謀論者のアラン・クラムウィディがクズすぎる
クラムウィディは成金主義なのと、政府やメディアが嫌いで、目立ちたがりであるかのようなシーンがちらほらとあります。自分のネタを取り扱わないメディアではキレ散らかしていますし、読者が死のうが自分が稼げればいい、そしてその罪悪感を消すかのように、過去の金持ちたちも同じことをしたきたのだから、自分がやっていることも罪には問われないと言った始末です。
肝っ玉がでかいのか小さいのか…
一番クソなのは、レンギョウがMEV-1に効くと嘘をつきブログに動画を流おそらく自身には化粧を施し、体調不良であるかのように見せかけ、レンギョウを投与し、次の日からも元気な自分がいることでレンギョウが効いていることを証明すると言った詐欺をしたこと。
これは完全に詐欺ですが、クラムウィディを信じるものたちは盲信なので、仮に政府がクラムウィディは嘘をついていると暴いたところで、嘘をついているのは政府の方だ!となります。
おかげで、レンギョウを求めて暴動が起きたり、レンギョウを信じたドクターが拉致計画を立ててしまいます。
共同謀議と証券詐欺と過失致死の罪で逮捕された時も、支持者たちが保釈金を出し、釈放されています。そしてクラムウィディはありもないことをペラペラとブログに書き、その内容を読者は信じるのでしょう。
映画で見ると裏があり、嘘がわかりますが、実際にはこう言った嘘の背景はわかりませんから、何が嘘で本当なのか証明できるものはありません。
キャッチコピーの「【恐怖】は、ウイルスより早く感染する。」と言った通り、恐怖に感染してしまった人は正常な判断ができず、救いの手を差し伸べるクラムウィディを信じてしまうのです。
クラムウィディは確かにクソで胸糞悪い感じですが、このポジションがたまたまこの人だっただけで、別の誰かが現れたでしょう。恐怖が伝染し、耐えかねる人々には救いの手が必要です。それが時代によっては神だったり、生贄だったり、妖怪だったり、この場合はクラムウィディだっただけです。
なので、彼はおかしくもなんともなく、この映画の裏主人公とも言えますし、キャッチコピーを一番体現する役でもあります。
若者の命よりも恋がよくわかる
若者たちは自分の命よりも恋が重要なシーンも生々しくで面白いです。
イリーナ(マッドデイモンの娘)はパパがめっちゃ辛い中で、パパディスりして恋人と早く会いたがってますからね。
めっちゃくらいよ、パパ
と恋人にメール打ちますが、そりゃそうだろ!と思っちゃいました。笑
妻と子どもが死んで、さらに妻は出張先で元彼と浮気してました。って告げられて、娘もパパ過剰すぎ〜って感じの目で見られて、辛いでしょうに…これで逆にめっちゃテンション高かったらそれはそれで何かの病気だと思ってしまいます。
イリーナの恋人も二人で外へ出かけて、病気に感染してないからキスくらい大丈夫だ、とキスをしそうになりますが、パパが止めに入ります。
パパが止めなかったら間違いなくキスしちゃってますが、それで感染したらどうするの!っていう考えが若者にはありません。
ですが、これが真理ですし、その若者の考えがうまく表現できているな〜と思いました。
嘘の薬を渡した政府もクソだが、拉致もクソ
スンフェンは、薬が自分の故郷の村に最優先に届くようにと、政府職員のオランテスを誘拐します。
オランテスは薬ができるまでの間、教職のような立場で子供達に勉強を教えている描写が少しありました
そしてワクチンができたために、身柄とワクチン100本分と交換が決まり、ワクチン100本分を受け取るスンフェン一行。
ですが空港にて、政府からあの薬は全部偽物だから、本物を早く打つんだ、と言われます。
そしてオランテスは走り出します。
おそらくですが、長く村で過ごしたことで、子どもたち、そしてスンフェンたちに情が湧き、その薬には何も効果がないことを知らせに行ったのだと思います。
実際に子供達に教えるシーンでも、特に扱いがひどく衰弱している様子もなく、イキイキとしているので、丁重に扱われたのでしょう。
スンフェンも政府職員で働いていた人物ですから、日頃から悪事をしているわけではなく、村の子供達のために仕方がなく拉致をしてしまい、オランテスには悪いことをしたと思っていたはずです。
薬が嘘であるのにも関わらず、効くと思い込んだスンフェン一行が少しでも予防を怠ってしまったらあの村は壊滅してしまいます。それを恐れて走ったオランテスが正しく、嘘をついた職員は罪深いようにどうしても感じてしまいます。
ただ、誘拐をすることで薬を優先的に渡してしまった場合、同じ例が各所で起こり、大混乱になってしまうこともわかるために、渡せないことにも頷けます。
最後の最後までミッチエンホフ(マッドデイモン)が可哀想だった
ミッチ・エンホフ役のマッドデイモンですが、ミッチエイホフと言われても「え、だれ?」と思ってしまうほどにパパ!という印象が強い役でした。
他の人物との絡みも特に目立つものはなく、浮気をしていた感染第一号の夫であり、娘を守るために頑なに外との関係を絶たせました。コロナウイルスを経験した人たちにとっては、これくらいして当たり前だ、と思うかもしれませんが、家族がいなかったり、大切なものを守る立場ではない人が見たら、「このパパうざいな、過保護」と思う人もいるでしょうね。
ですが、最後の最後には娘の彼女がワクチンを打ったために、二人の接触を許し、二人のプロムナイトのために、ドレスを買いに行ってあげる素敵なパパでした。
フェイスブックにチーバーの噂を流したのは誰なのか
陰謀論ブログを書いている自称フリーの記者である、アランがドクターチーバーと対談をするシーンがあります。
そこでは、アランが、公平な判断を持っているはずのチーバーは、自分の大切な人にだけ、公表がある前にパンデミックする可能性がある町から出て行くように言ったではないか、といいます。
そしてその内容はフェイスブックに書かれている、と。
この内容を知っているのは二人います。
一人は、チーバーの婚約者の友人ともう一人はロジャーです。婚約者の友人にはポロリと言ってしまったみたいで、誰にも言わないでと釘を刺しましたが、そんなものじゃ人は言ってしまいますね。
最後にロジャーが助けられているのが証拠です。
もし仮にロジャーがフェイスブックに投稿をしているのであれば、二人の関係性から何から書かれているでしょうから、内容からするにロジャーではなく、婚約者の友人がバラしたことがわかります。
コンデイジョンの感染のきっかけは結局どこからなのか
感染のきっかけが徐々に明かされるのは、ワクチンが開発されて、ローレンスフィッシュバーン演じるドクターチーバーがワクチンを貰うところから始まります。
チーバーはワクチンをもらい、ここで打っていかないのかい?と聞かれ、彼女と二人でうつからいい、と断ります。お酒も用意をしているし、ああと納得をして二人分のワクチンを持って帰るチーバー。
ですが、ワクチンを二人でうつわけではありませんでした。大切なものを抱えているロジャーのもとへ行き、息子にワクチンを打ってあげるチーバー。
自分のことだけではなく、責任感が強く、自分のことを信じてくれたロジャーは仲間なので、救ってあげるわけです。
そして、握手の起源を知っているかい?と尋ねるシーンがあります。
知らないと答えるロジャーの子どもへ、チーバー博士が答えます。握手は武器を持っていないよ、という証明になる。と
その後マッドデイモンパパが遺品であるカメラのデータを見ます。そこには生前の妻の写真が複数ありました。楽しく食事をして、ご飯を食べるシーン、思わず涙をするデイモンパパ
。
そしてこの写真が最大の肝であり、答えでした。
場面は初日へ戻ります。
ところどころ出てくる会社、アルダーソン社、他のパンデミック映画ではこの会社の粗相で実はウイルスは作られてしまっていた、というのウイルス映画系の王道です。
ですが、アルダーソン社は別に悪巧みはしていません。森林伐採をして木を倒しただけです。
その倒れた木にはコウモリが付いていて、コウモリがバナナの元へ飛びます。バナナを口に咥えたコウモリは、豚小屋へ飛びます。そして一匹の豚は、コウモリが落としたバナナを食べます。ぶたは出荷され、出荷された豚の口を調理中のシェフが触り、エプロンでふき、手を洗わずにベスと握手をしたことが感染源でした。
その握手をした写真はベスのカメラの中にありました。
手に武器を持っていない、という好意の表しである握手が皮肉にもウイルス感染のきっかけとなってしまった。というオチになるわけです。
そして、今作かなりうざい役回りになってしまった、ジュードロウ演じるアランクラムウィードが散々陰謀論を語っているけど、実際は自然発生で何かの陰謀なんかではないんだよ。という結論で終わるわけです。