2007年に公開された実際に起こった連続殺人事件を元にしてできた映画、「ゾディアック」。
一度だけでは中々に真相が読めず、もう一度と見ても真相が見えてこない映画です。
解説、考察といいますかおさらいを含め、ゾディアックで語られていること、分かること、分からないことを振り返っていきます。
目次
映画ゾディアックのあらすじをわかりやすく言うと
映画ゾディアックのあらすじを超わかりやすく、簡潔に説明するのであれば、「連続殺人事件である、「ゾディアック」事件に関わった人々のヒューマンドラマ」です。
そうです。
映画ゾディアックは、サスペンスや刑事物で、真相がわかり最後にすっきりとする映画ではありません。むしろすっきりせずにしこりが残る、だが人間がなんだか見えてくる。そんな映画なわけです。
- 連続殺人事件
- 未解決事件
- 人間ドラマ
- 真実は不明
「ゾディアック」の始まりと終わり
ゾディアックは1968年から1974年にかけて、実際にアメリカ合衆国で起きた連続殺人事件が起きました。
カリフォルニア州サンフランシスコ市内で若いカップルを中心に、少なく見積もっても5名が殺害され、犯行後に警察やマスコミに多量の犯行声明文を送りつける。
犯人を探すが見つけられぬまま、報道関係者、警察、事件に関わった人は次々にやめていく。
結局犯人は捕まらないまま、時は過ぎていき、1986年にゾディアック(映画)の主人公でもあるロバートグレイスミスが事件についての独自調査をまとめた本を出版し映画は終わる。
ゾディアック事件の一連の流れ
ゾディアック事件の一連の流れは、すべてが同一人物ではない可能性もあるそうです。むしろ、目立ちたがった犯人が他の事件も自分がやったことにした、ゾディアックが犯行声明を出したせいで他の人が事件を起こした、などの可能性があります。
1968年カップルが射殺
未成年である男女二人のカップルがハーマン湖で射殺。
1969年7月4日
19歳男性、22歳女性がヴァレーホの駐車場で射殺されます。男性は瀕死の重傷を負いましたが助かり、女性は搬送先の病院で死亡。
翌日に1968年に起きた事件、先日起きた事件はいずれも自分がやった。と犯人しか知り得ない内容の電話が届いた。
メモ
警察しか知り得ない情報なので、犯人であろうと思われた。
ゾディアックを称する人物がタイムズヘラルド、サンフランシスコ(2紙)、ほかへ一部暗号化された物を含んだ手紙を送付した。
1969年8月8日
カリフォルニアに住むパズル好きの夫婦が「408暗号文」の解読に成功。
内容は、「森で動物を殺すよりもはるかに楽しいから、人間を殺すのが好き」と書かれていた。
1969年9月27日
湖畔でカップルがナイフで襲われる。ゾディアックからの電話を受けてナパ警察が発見する。男性は生存するが女性は死亡。
1969年10月11日
サンフランシスコ近郊で、タクシー運転手が射殺され、財布を奪われる。ゾディアックは運転手の血がついたシャツ断片を地元新聞社へ送り、警察署へ電話をする。「弁護についてくれるなら自首する」「テレビ番組で電話出演する」といい、テレビ番組で電話がかかってくるが、自首することはなかった。
1974年
ゾディアックから「今まで37人を殺害したことを、新聞で一層大きく取り扱わないとすさまじいことをする」と記された2通の手紙がサンフランシスコ市警察へ届く。この手紙を最後に新たな殺人事件は発生せず、ゾディアックからの連絡も途絶えた。
1978年4月24日
新聞社へ「自分は復活した」と連絡をする。が、新たな事件は起きず模倣犯によるいたずらと見られる。
1981年
連続殺人容疑者が逮捕されるが、別人であると判明し釈放される。
2020年12月
オーストラリアの暗号解読者、アメリカの数学者、ベルギーのプログラマーからなるアマチュア暗号解読チームが、暗号解読プログラムを使い「340暗号文」を解読。
私を捕まえるのを大いに楽しんでほしい
テレビ番組に電話したのは私ではない
ガス室は怖くない。より早く私を天国に送ってくれるから
などと書かれていた。
ゾディアック事件の被疑者
ゾディアック事件の容疑者は複数人あげられています。
- アーサー・リー・アレン(Arthur Lee Allen)
- アール・ヴァン・ベスト・ジュニア(Earl Van Best Jr.)
- リチャード・ガイコウスキー(Richard Gaikowski)
- ローレンス・ケリー(Lawrence Kane)
- デニス・レイダー(Dennis Rader)
中でも、映画ゾディアックでは、アーサーリーアレンが長い時間疑われ、劇中ではまるで「リー」が犯人であってほしい、と関係者各者が奮闘する姿が描かれています。
ゾディアックの監督はセブンで有名
ゾディアックの監督は、セブンで有名なデヴィットフィンチャーです。
他にも
- ファイトクラブ
- ベンジャミン・バトン 数奇な人生
- ソーシャル・ネットワーク
- Mank/マンク
などといった有名な映画があります。
どれも個人的には好きです。笑
ゾディアックは批評家からの評価が高い
批評家からは、殺人の残酷さを詳細に描写するよりも、登場人物のニュアンスを描き、70年代のムードを再現していると、253件中公表かは225件だったそうです。
復興収入も、8400万ドルを叩き出しています。
映画ゾディアックが描きたかったこと
ゾディアックはタイトルこそゾディアックですが、ゾディアックに迫ってはいません。むしろ、ゾディアックに関わる人にフォーカスがされています。
なので、ゾディアックを見たかった。という人にとってはかなり消化不良になると思います。そういった人は奇跡アンビリーバボーとか、追っかけの本なんかを読んだ方がいいのかもしれませんね。
追いかけた人たちは皆消えていった
ゾディアックの主人公は2人います。
一人は、ジェイクジレンホール演じるグレイスミス、もう一人はマークラファロ演じるデイブトースキーです。
ロバートダウニーJr.が出ているので、思わずエイヴリーに目と意識がいきがちですが、あまり本筋とは関係はありません。
事件に翻弄されたエイヴリー
エイブリーは露骨にゾディアック事件が影響して、栄光と挫折を味わったので、対比して描きやすく、エイヴリーがいい味を出しているのは言うまでもありません。
それにしても、麻薬をやっていたロバートダウニーJr.はお酒やジャンキーの役がはまり役すぎて怖いですね。笑
事件が盛り上がるとエイヴリーは注目を浴びますが、事件が遠ざかれば価値がなくなってしまう。見て欲しさにゾディアック事件に濃く絡むが、いつ殺しにくるかわからないと言う恐怖と、興奮でお酒が進み、会社を辞め地方局へうつる。
そして結末は船の上で貧しく暮らす。
トースキーの葛藤と苦難
トースキーはゾディアック事件をきっかけに相棒を失っています。失うといっても、殺されてしまうわけではなくて、課を離れてしまうと言う意味です。
劇中でも描かれていますが、警察は事件が悪化しないように隠し事もするわけですが、マスコミは嗅ぎつけて先に報道をしてしまったりします。さらに、ゾディアック事件が解決をしなければ、国民には「ばか」呼ばわりされ、警察署でも居場所がなくなってきます。政治的に利用され、ゾディアック事件を解決できない警察なんて、とも言われ、かなり憔悴していたことでしょう。
リーが犯人ではないか?と迫るシーンでは、事件を解決する警察、ではなく、もはや一人の人間でした。このゲームを早く終わらせたかったのでしょう。
それでも最後はグレイスミスへと協力をしていました。当時関わっていた人にとっては思い出したくない事件でもあるゾディアック事件なので、こそこそとしているのはそのためでs長。
家族よりも仕事を選んだグレイスミス
もともと没頭グセがあるグレイスミスは、最後までゾディアックを追いかけました。そして最後には本を出しヒットさせました。
警察がたどり着いていた答えに、自らでたどり着いたグレイスミスは没頭しすぎて家族を置いてけぼりにしてしまいます。
本を出した後は家族の元へと戻ったはずです。エンドロールには「今も子供たちのよき父である」と書いてあります。
今も、と言う言葉が気になりますが、あえて存命の人を侮辱するような書き方はしないでしょうし、方便といいますか、綺麗な言い方でまとめただけでしょう。
まとめ
未解決連続殺人事件「ゾディアック」をサクッとわかりやすく書いてみました。
どんな映画?と聞かれればゾディアック事件の周りで起きていた人間模様を描いた映画。
と言う感じでしょうか?
事件の真相や事件についてはあまりこくは語られていない気はします。それでもどんよりとした事件を取り巻く嫌な空気感が見ていてわかります。
もう一度見たい!と強くは思いませんでしたが、数年後に見たくなるような重厚な映画ではあったのではないかな、と個人的には思いました。